最近、ずいぶん久しぶりに映画ファイトクラブを借りてきた。 久しぶりに、とはいっても映画館とあわせたらこれで5度目になる。 いい加減飽きないのだろうか。毎回自分でも多少は疑いながら観るのだが、不思議と飽きることはない。 それどころか、観る度に体中の血液を全部取り替えられたように、気分が高揚する。 ただこれは決して「いい映画」などではない。観る者を欺き、挑発し、洗脳する。 汚くて、反社会的で、突発的にホラー映画のような場面を突きつけてきたりもする。 それでも、なぜかそれらの苦痛が快感に感じられてしまうのが、この映画の魅力ではないだろうか。 この映画とは、高校の頃一人でいった映画館で出会った。 衝撃を受け、すぐにチャック・パラニュークの原作も読んだ。 読んでみると意外にもにも映画以上に反社会的な表現が含まれていて、それが文章には似つかわしくない疾走感を伴い、文字と文字の間を駆け回っている感じだった。 しかし、原作と映画ではひとつ、大きくちがう点があった。後味、と言ったら分かるだろうか。 最初は、エンドロールがはじまる直前に、ああ、これでようやく幸福な瞬間が訪れようとしているのだ、と思った。 しかし落ち着いて考えてみれば、主人公は頭蓋骨を銃で打ち抜いたその瞬間、死んだ筈である。 映画ではこの直後、彼は呆然とするマーラの手をとり平然と言うのだ。 「出会ったタイミングが悪かったんだ」と。 死して尚、しっかりと立ったまま眼の前の光景を見つめていたのは、 もしかしたらこの言葉を、今この瞬間の生の喜びを観客である僕たちに伝えるためだったのかもしれない。 ぼくはこのシーンが大好きだ。
by yuichikov
| 2004-10-11 16:11
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